★2007年の流行語大賞は?

★2007年の流行語大賞は?

◇「どんだけぇ〜」失言するの?−−「(女性は)産む機械」「(原爆投下は)しょうがない」…
 年を追うごとに、年末らしさは薄らいでゆくけれど、これが話題になると、一年を振り返ってみたくもなる。そう、「現代用語の基礎知識」(自由国民社)が選ぶ「2007年ユーキャン新語・流行語大賞」。12月3日のトップ10発表を前に、ノミネートされた言葉から今年の世相を読み解いてみた。

 流行語大賞の候補語=表参照=は、「現代用語の基礎知識」の執筆陣約250人と読者から寄せられた言葉をもとに、作家の藤本義一さんら5人の審査委員が60語まで絞り込んだ。「現代用語の基礎知識」編集長の清水均さんは「あらゆる世代にわたって共通に使われている言葉を選ぶようにしている」と話す。

 ジャンル分けすると、政界から生まれた言葉が15語もある。しかし、よくよくみると、柳沢伯夫厚生労働相の「(女性は)産む機械」、久間章生元防衛相の「(原爆投下は)しょうがない」に、自殺した松岡利勝元農相の「ナントカ還元水」「事務所費」と、閣僚の失言や政治とカネに絡むものが目立つ。

 放送作家山田美保子さんは「まったく自分のボキャブラリーにない言葉が突然出てくるわけがありません。鳩山邦夫法相も『友人の友人がアルカイダ』と発言して『事実を言ってはいかんのか』と開き直っていましたが、その人が普段から思っている言葉が公の場でポッと出てきてしまうのが失言の正体でしょう」と相次ぐ失言の背景を分析する。
 ちなみに、昨年の大賞はトリノ冬季五輪で金メダルを獲得した荒川静香選手の「イナバウアー」と数学者、藤原正彦さんの著書にちなんだ「品格」だった。

 今年は五輪やサッカーのワールドカップなどの国民的イベントがなかったうえ、相撲界では朝青龍問題や新弟子が死亡した「かわいがり」、ボクシングでは亀田大毅選手が相手の目を突く「サミング」や頭突きなどの反則行為を連発して問題になるなど、スポーツ界でも暗い話題が多かった。

 そんな中、彗星(すいせい)のごとく現れたのが、男子ゴルフの「ハニカミ王子」こと石川遼選手と、バドミントンの「オグシオ」こと小椋久美子潮田玲子の両選手だ。「強くて、かわいいルーキーが出てくると、そのスポーツが一気に活性化することを改めて思い知らされました。競輪界にも現れないかしら。中野浩一さん以来、誰も知らないでしょ」と競輪ファンの山田さんはこぼす。
 それにしても、この候補語から見えてくる2007年って、どんな年だったのだろう。歌人枡野浩一さんに聞いてみた。

 「『KY(空気が読めない)』という言葉に違和感を覚えますね。私自身、KYと思われがちなんですけど、私は私なりに空気を読んでるつもりなんです。皆さんと違うところを。その場の人たちの共通認識と違うことを言うと排除されてしまうのは、日本人ならではの現象ではないか。でも、言ってはいけないとされていることをあえて言ってしまうことが、意外な打開策となり、世界を変えることってあると思うんです」

 KYは携帯メールなどで使われていた短縮言葉だが、参院選で大敗しても続投にこだわった安倍改造内閣に、共産党市田忠義書記局長が「かき集めのK、寄せ集めのYの『KY内閣』」と命名し、話題を呼んだ。女優の沢尻エリカさんは主演映画の舞台あいさつで、司会者の質問に「別に…」「特にないです」と不機嫌な態度で応じ、会場を凍りつかせた。

 「安倍さんも沢尻さんも、もっと徹底してやればピンチをチャンスに変えられたかも」と同情的にみる枡野さんは「今年は『空気が読めなきゃいけない』という強迫観念を再認識した一年でした。皆さん、内心では『別に…』と言いたい気持ちをもちつつも、周囲に気を使うことを求められた。そんな中、KYっぽい人として敬遠されてきた(タレントの)ルー大柴さんが再ブレークしたのは、未来への希望です。空気を読むことと無縁に見える芸風で、自分の温度を保っていたら、世間が後から彼の面白さに気づき始めた。来年のキーワードは『空気を読むな』になってほしい」と話す。

 ところで、流行語大賞の有力候補はどれか? 山田さん、枡野さんともに、お笑い芸人の小島よしおさんのギャグ「そんなの関係ねぇ」と美容家のIKKOさんが広めた「どんだけぇ〜」を挙げた。その理由は−−。
 「そんなの関係ねぇ」は、「どんな内容の話の後にもつけられる。『学校で使ってはいけません』と言われても、子どもたちが喜んで使ってしまう。パッとしない一年でしたが、でも『そんなの関係ねぇ』と言ってしまうと、少し前向きになれるようにも聞こえます」(山田さん)。

 「どんだけぇ〜」は、「もとは新宿二丁目ではやっていた言葉ですが、身近で使われているのを聞きますし、『おネエ★MANS』というテレビ番組がゴールデンタイムに進出したのも象徴的。おネエ言葉というのは、普通に言ったら角が立つところを、女性的な言い回しをすることで、相手に『しょうがないや』と思わせる緩衝材の役割を果たすんです」(枡野さん)。

 はてさて、読者の皆さんにとっての流行語大賞は何でしょうか。トゥギャザーして(一緒に)シンクして(考えて)みようぜ! それとも、別に、そんなの関係ねぇ?

 ■候補に挙がった60語(順不同)
・KY(空気が読めない)
産む機械

・事務所費
ナントカ還元水
・しょうがない
・お友達内閣
・背水の陣内閣
・共生
マダム・スシ
・そのまんまショック
・(宮崎を)どげんかせんといかん

・宮崎のセールスマン
・身体検査
・姫の虎退治
・(消えた)年金
オグシオ
・ハニカミ王子
・かわいがり
サミング
・国民の期待に応えられました

・そんなの関係ねぇ
・オッパッピー
・どんだけぇ〜
・欧米か!
・ビクトリー、ビリーズブートキャンプ
千の風になって
・がばい(旋風)
・おしりかじり虫

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・別に…
干物女
・格差婚
・鈍感力
赤ちゃんポスト
・1円○○(1円パチンコ、1円携帯)
鉄子
・ミンチ偽装(偽装食肉)
猛暑日
ふるさと納税

モンスターペアレント
・闇サイト
ネットカフェ難民
デトックス
・カワユス、ギザカワユス
コンプライアンス
・金属ドロ
・チャイナショック、チャイナフリー
・大食い(メガ○○)

フードファイター
ワーキングプア
・(核施設の)無能力化
・もてぷよ
不都合な真実
・大人かわいい
ハケ
・工場萌え
・炎上

・Dice−K
・奪回
・ハンカチ世代
・(一連の)ルー語
毎日JPより