東山温泉の三つの老舗旅館「千代滝」「不動滝」「新滝」が復活

経営不振に陥っていた福島県会津若松市東山温泉の三つの老舗旅館「千代滝」「不動滝」「新滝」を一体的に立て直すため、地域再生ファンドを活用して2005年に設立された「くつろぎ宿」(会津若松市、深田智之社長)は23日、全額出資を受けた「福島リバイタルファンド」に出資金2億円と配当金を償還したと発表した。再生ファンドを使って複数の企業を一括してよみがえらせる取り組みは完了した。

 くつろぎ宿などによると、出資金の償還に合わせ、同社の株式をファンドに出資していたリゾート・コンベンション企画(東京、同社長)が買い取り、今後の経営を進める。同じく出資したリサ・パートナーズ(東京)の支援をあらためて受け、資本金を1000万円増額し2000万円にした。

 くつろぎ宿は3旅館の連携を進め、宿泊客の希望に応じて旅館を紹介するなど細やかな対応で集客増を図った。営業効率が改善した上、コスト削減も図って06年から黒字転換を果たし、昨年の売り上げは06年の3割増だった。

 深田社長は「3旅館があることで、従業員の専門性を生かせ、お客さまのニーズに対応しやくなった。事業再生から成長の段階に入った」と話している。
 3旅館は計50億円の負債を抱え、主力行の東邦銀行が05年9月、地域再生ファンドを活用して3旅館の一括再建を目指していた。

地域再生ファンド] 経営不振にある地方の中小企業の再建を、地元の金融機関や投資会社などが支援する投資ファンド。2004年以降、全国で設立が広がった。河北より