2009年は「水と緑、山の再生へ」というスローガンで復興元年

 昨年6月の岩手・宮城内陸地震で被災した宮城県栗原市の2009年は、復興元年となる。市の復興計画は3月にもまとまり、雪解け後には、避難指示・勧告が一部で解除される見通し。休業している第三セクター運営の温泉施設は、秋の営業再開を目指す。観光地として大きなダメージを受けた栗駒山周辺。観光客の足が戻ることに期待が膨らむ年になりそうだ。

 栗原市では今なお、122世帯310人に避難指示・勧告が継続されている。このうち、60世帯159人が仮設住宅で暮らし、アパートや親族宅などで避難生活を送る住民もいる。
 避難指示・勧告の解除時期について、佐藤勇市長は「栗駒耕英地区が花山地区より先になるだろう」と語る。雪による山への影響など安全を確認した上で、耕英地区はゴールデンウイーク明けごろ、花山地区は6月ごろになる見通しという。
 ただ、住宅の損壊などで戻るに戻れない住民もまた多い。

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 市は被災者への支援策を含めた復興計画の策定を急ぐ。「水と緑、山の再生へ」というスローガンを掲げ、(1)被災者の生活再建(2)産業・経済の再建(3)集落の再生(4)復興防災のまちづくり―を軸に基本方針を検討している。計画策定では「市民検討会」を設置し、住民の声を反映させる。
 一方で、被災者自らもニーズに沿った復興計画を策定し、市に提言する方針。耕英、花山両地区の「復興の会」が連携し、日本災害復興学会のメンバーが協力する。

 被災地の復興に欠かせないのが温泉宿泊施設。被災住民の雇用、観光客への地場産品の販売、宿泊客向けの食材提供など、営業再開がもたらす効用は大きい。
 第三セクター「ゆめぐり」運営の温湯山荘(花山)とハイルザーム栗駒栗駒)は、紅葉時期の秋をめどに再開する予定。いこいの村栗駒栗駒)は被害が大きく、再開の見通しはまだない。
 ハイルザームがある耕英地区に通じる市道馬場駒の湯線は、復旧道路が昨年暮れに完成。温湯山荘付近までの国道398号は、6月末までに完全復旧する。避難指示・勧告を解除した後に、一般車両の通行が可能になる見込みだ。 河北新報社より