[梅原市長のタクシー券問題]は闇の中へと消え去る。

仙台市梅原克彦市長がタクシーチケットを不適正に使用していた問題が、波紋を広げている。梅原市長は問題の責任を取り、自身に減給を科した。しかし、タクシーをどこへ行くのに使ったのか、どのような会合で誰に会い、チケットを渡したのか―との疑問点には答えていない。市議会や市民団体からは「説明責任を果たしていない」という批判の声が高まっている。一連の問題点を整理した。

<妻の実家が出発点/私的使用の可能性>
 梅原市長は、行き先未記入のタクシーチケットについて「すべて公務で使い、私的利用はない」と強調。経路については「機密の保持」を理由に明らかにしていない。
 だが、異例の市長出席となった17日の市議会12月定例会総務財政常任委員会では、タクシーの出発点が市長の妻の実家だったり、一度公用車で帰宅した後にタクシーを使ったりといった事実が明らかになった。追及した市議は「いくら公務で使ったと主張しても、タクシーの使用目的や経路を明らかにしなければ、本当に公務なのかは判断できない」と話す。

<市長出張中に使用/第三者への譲渡の妥当性>
 梅原市長は自分名義のタクシーチケットを第三者に譲渡した理由について、「市政に関する会合に来てもらった人への足代」と説明。譲渡先や会合の目的については、「相手方への配慮」を理由に、やはり明らかにしていない。
 タクシーチケットは金券に相当し、他人に譲渡する場合は理由の妥当性が問われる。総務財政常任委では「どのような会合に来た人に渡したかを説明しなくては、適切な支出か判断できない」という声が相次いだ。
 梅原市長が出張で仙台にいない間に、第三者に渡されたチケットが限度額に近い金額で使われたことも判明した。「現に、公務とは言えない使われ方をされている」(市議)との指摘もある。

<「寄付に該当」の声/公職選挙法との関連>
 第三者への譲渡は、「公職選挙法公選法)が禁止する政治家の『寄付』に当たる」という見方もある。
 問題発覚後、梅原市長は行き先未記入のタクシーチケットの料金を全額市に返納した。その中には、梅原市長の出張時に第三者が使ったチケットの分も含まれる。
 仙台市オンブズマンは「返納したことで、梅原市長自身の金で第三者にタクシー料金を交付したことになる」と指摘。25日には市監査委員に違法性の有無などを調べるよう、随時監査を申し入れた。
 市選挙管理委員会事務局は「市長がチケットを渡した相手が市内在住の有権者かどうかなどが分からない現段階では、判断できない」という見解を示す。
 これに対して、議員の一部やオンブズマンは「裏を返せば、第三者有権者と特定できれば公選法に触れることになる」と強調している。


[梅原市長のタクシー券問題] 梅原克彦市長が就任以来使ったタクシーチケットのほとんどが行き先を記入していなかったことが判明。市長は就任した2005年8月から08年9月までの行き先不明分のタクシー料金約221万円を市に返納した。当初は第三者へのチケットの譲渡を否定したが、後に発言を翻し、50枚前後を渡していたことを認めた。