宇宙の果てをこの目で確かめたい1/21日、東北大初の独自衛星鹿児島県の種子島宇宙センターから宇宙へ飛び立つ予定だ

うちゅうじんにあいたい(小1)、宇宙の果てをこの目で確かめたい(小6)、宇宙を自分の体で感じて世界の役に立ちたい(中3)……。打ち上げが迫る東北大初の独自衛星には、観測機器のほかに、子供たちのメッセージや絵画など1000点余りが搭載される。子どもたちのあふれんばかりの夢やあこがれは、手作り衛星を実現した研究者の情熱とともに、21日、鹿児島県の種子島宇宙センターから宇宙へ飛び立つ予定だ。

 衛星(縦横高さ各約50センチ・メートル)は、同大の吉田和哉教授(航空宇宙工学)と高橋幸弘講師(惑星大気物理学)らが開発した。高度約660キロからデジタルカメラガンマ線測定装置で、3〜4年間にわたり、スプライトという高層大気の発光現象などを観測する。同センターに運ばれ、最終準備に入っている。

 メッセージは、宇宙開発や地球物理の世界に興味や親近感を持ってもらおうと、吉田教授らが全国の中学生以下を対象に募集。予想を上回る約1000件の応募があったが、全作品を搭載する。絵画作品は約360点のうち「宇宙のカミナリ」「天の川すべり台」など入選作品11点を積み込む。世界14か国の芸術家のイラスト40点も一緒だ。

 ただ、精密機器を満載する衛星内部に多数の作品をそのまま搭載することは難しい。そこで、同大ナノテク融合技術支援センターの誇る超微細加工技術を応用し、縦26ミリ、横60ミリのシリコン板に全作品を刻み込んだ。メッセージの一文字の大きさは、髪の毛の太さ(直径約0・1ミリ)とほぼ同程度で、シリコン板は衛星のアンテナの先端に張り付けた。

 打ち上げは、国の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を運ぶH2Aロケット15号機に相乗りする。打ち上げ後、約1時間半で独自衛星から最初の電波を受信する見込みだ。地球を約100分間で1周し、同大上空を1日に3〜4回通過するという。青葉山キャンパスとスウェーデンのアンテナを通じて運用する。

 吉田教授は「わずか1年半の開発期間と1億円という格安の衛星製作費で、ここまで来た。ぜひ成功させて、手作りでも勝負できるという自信と希望を、次の世代に持ってもらいたい。あとは祈るだけです」と話している。

(2009年1月16日 読売新聞)