宮城県立高校の一律男女共学化に仙台市の梅原克彦市長は22日、県の教育委員に採択を求める手紙を提出の是非

宮城県教委が対応を検討している「県立高校の一律男女共学化の凍結を求める請願」をめぐり、仙台市梅原克彦市長は22日、県の教育委員に採択を求める手紙を出したことを認め、「一律共学化は凍結、再検討の必要がある。政治介入には当たらない」と持論を強調した。県の教育行政に対する市長の関与に、市幹部は困惑している。

 市秘書課で報道関係者の取材に応じた梅原市長は、請願を協議した16日の県教育委員会定例会前と、20日の計2回、持論をつづった手紙を6人の教育委員あてに出したと説明した。

 1回目は、市長が公用車で小林伸一県教育長の自宅に出向き、各委員あての手紙を預けた。2回目は、市長の指示を受けた市秘書課職員が休暇を取って県教委に出向き、手紙を託したという。

 手紙を出した理由について、梅原市長はNPO法人が2008年実施した一律共学化のアンケートで「選択の自由を残すべきだ」との回答が多数を占めたことを挙げ、「市民が県立高校のお世話になっており、一律共学化は凍結、再検討すべきだと考えた」と話した。

 手紙には直筆で「仙台市長 梅原克彦」の署名が入っていた。梅原市長は「属性を書いただけだ。それ以上でもそれ以下でもない」と説明。「意見を申し上げること自体は政治介入にならない」と強調した。

 今回の市長の行為について、市幹部には「行き過ぎだ」との戸惑いが広がっており、「あくまで市長がやったこと」と距離を置いている。

 荒井崇市教育長は「何とも言えない」と強調。笠原周二副市長は「市長の行動は公務ではない。政治家として行動するならば、公用車を使ったり、職員をかかわらせたりしないでほしかった」と苦言を呈している。

◎多くの県民の思い代弁/仙台市長一問一答

 梅原克彦仙台市長は22日、報道関係者に対し、県教育委員に手紙を渡した経緯を説明した。一問一答は次の通り。

 ―意図は何か。
 「多くの人が別学校の存続を望んでおり、一律共学化を見直してほしいという趣旨の手紙を届けた。16日の県教育委員会定例会で共学化推進の教育長提案が否決され、事実上の方針転換となった。影響が最小限になるようにとも要望した」

 ―県幹部らから政治介入との批判が出ている。
 「教育行政の根幹にかかわることに首長が意見を言うのは政治介入に当たらない。問題ないどころか、多くの県民、市民の思いを代弁している」

 ―政治家としての行動に、公用車や職員を使うのは不適切ではないか。
 「政務の色彩が強いが、(公用車の使用は)ケース・バイ・ケース。職員は市長の仕事をサポートするのも役割だ」

 ―別学の選択肢が必要ならば、まずは市立高で進めるべきではないか。
 「市立の仙台商高と仙台女子商高の統合は方針通り進める。すべての学校を別学にしろと言うのではない。県立高に選択の幅を残すべきだと主張しており、矛盾はない」

 ―梅原市長は仙台一高出身で、母校へのこだわりとも受け取れる。
 「私がどの高校出身かは関係ない。県民全体の将来を考えての行動だ」 河北より