定額給付金をめぐり、東北の市町村が煩雑な事務作業に四苦八苦

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定額給付金をめぐり、東北の市町村が煩雑な事務作業に四苦八苦している。行財政改革で職員数が減る中、全世帯を対象にした申請、給付の手続きは大きな負担を強いられる。高齢者の代理申請など弱者対策、振り込め詐欺への警戒など、きめ細かな目配りも欠かせず、国会で支給が決まる前から対応に手を焼いている。

<膨大な作業>
 定額給付金の受け取りまでの流れは図の通り。郵送による手続き、口座への給付金振り込みが基本になる。「職員が減り、負担はかなり重い」(むつ市)「(1999年の)地域振興券と違い、今回は現金。額も多く、不安がある」(盛岡市)との声が上がる。

 今後、市町村は申請書類の封入や発送、支給する口座番号のデータ入力などの作業に追われる。手間のかかる作業は、民間企業の力を借りる方針の市町村が多い。

 仙台市区政課は、民間企業に委託し、相談受け付けを含めた「事務センター」の設置を検討。山形市総務課は業務委託や臨時職員の採用などで乗り切るという。

 膨大な件数に上る口座振り込みも頭の痛い問題。口座番号のデータのやりとりや手数料について各金融機関との協議が必要になる。

 盛岡市定額給付金実施本部の畑沢修一事務局長は「指定金融機関の地元銀行とは連携が構築されているが、ゆうちょ銀行とはあらたな仕組みが必要だ」と話す。

<高齢者対策>
 東北各県の大まかな支給世帯数と総額は表の通り。今月1日を基準日に定め、住民基本台帳に記載された全世帯に支給される。だが、山間部の自治体などでは「お年寄りの中には、自分が対象になっているのを認識していない人もいる」との不安もある。

 身分証明書や通帳の写しを独力で用意するのが難しい人も想定される。代理申請など、高齢者や障害者に対するサポート策も欠かせない。

 「民生委員に巡回を依頼」(青森市)「町内会の協力で、書類が届いているか確認してもらう」(盛岡市)などのほか、新庄市は市職員の戸別訪問も念頭に置いている。

 福島市総務部は「認知症や、老人ホーム暮らしで近くに家族がいない高齢者への手当ても考えなければならないだろう」と課題を挙げる。

振り込め詐欺
 宮城県自治会館で13日にあった県と全市町村の説明会。県警の担当者が「宮城では昨秋以降、23件の定額給付金を装った不審電話があり、全国でも突出して多い。被害防止への地道な声掛けを」と要請した。

 仙台市では、1日2回、本庁舎や区役所で「定額給付金の支給は始まっていません。職員が振り込みの操作をお願いすることはありません」などの放送を流し、注意喚起を繰り返している。

 警戒を強める一方で各市町村が苦慮しているのが、支給対象者との連絡方法だ。申請書に不備があった場合は本人と連絡を取らなければならないが、詐欺と誤解されないため、電話をかける以外の照会方法を練る必要がある。

 「時間はかかっても、文書のやりとりを基本にする方針」(盛岡市)「対象者に個別の番号を割り振り、電話連絡の際に番号確認するのも有効」(福島市)など、対策を模索している。河北より