権力の二重構造?「剛腕・小沢」に期待と警戒というよりも「爆弾を抱えた民主党」というべき

権力の二重構造?「剛腕・小沢」に期待と警戒

民主党鳩山代表は、16日の首相指名を前に、小沢代表代行の幹事長起用を決め、鳩山政権の組閣・党役員人事を本格化させた。

 「剛腕」と称され、1990年代の政界再編の主役でもあった小沢氏の幹事長起用に対し、与野党に波紋が広がっている。

 鳩山氏は4日朝、東京・田園調布の私邸を出る際、記者団に「小沢氏にはどんな幹事長になってほしいか」と問われ、「通常のまま」と笑みを浮かべた。

 小沢氏の起用について、鳩山氏に近い党幹部は4日午前、「来夏の参院選は、単独過半数を確保し、安定政権を築けるかどうか最大の山場だ。政権交代を実現させた小沢氏の力が必要だ」と強調した。

 ただ、小沢氏に距離を置く議員には警戒感もある。「政策は内閣で決めると言っても、法案の成否は国会が握る。社民党などとの関係や野党の切り崩しをどう進めるかなど、鳩山政権の生命線を握られかねない」(中堅)というわけだ。5月の代表選で岡田幹事長を支持した安住淳国会対策委員長代理は4日午前のCS放送朝日ニュースターの番組で「党は政策にはいっさい関与しない。幹事長の仕事は今までとは違う」と述べ、「権力の二重構造」批判は当たらないと強調した。

 一方、自民党は警戒感を募らせている。

 大島理森国会対策委員長は4日午前、国会内で記者団に、鳩山氏と小沢氏の政治資金問題について「まだ終わっていない。国会が始まればしっかり追及していく」と強調した。

 河村官房長官も4日午前の記者会見で、「まだ解決されていないという認識だ。説明責任をどう果たすのか。国会の場で議論される問題だ」とけん制した。

 甘利行政改革相は小沢氏の起用について、閣議後の記者会見で「民主党は与党・政府の一体化が一番大事だと言っていた。(幹事長が)閣内に入らないと当然二元体制になる」と述べ、権力の二重構造になりかねないと指摘。さらに、「閣内に入らないとしたら、頻繁に定例会見をして情報開示することが、院政と言われないためにやらなくちゃいけないことだ」とも述べた。

 公明党の次期代表に就任する山口政調会長は、「国会対応で硬軟取り混ぜてやってくるだろう。我々は、警戒心は怠りなく、是々非々で臨む」と語った。

(2009年9月4日14時21分 読売新聞)