”変わらぬ人間愛を追求”黄門役の里見浩太朗出演回数が200回

変わらぬ人間愛を追求

TBS系時代劇「水戸黄門 第40部」で黄門役 里見浩太朗(さとみこうたろう)
 今年40周年を迎えた国民的時代劇「水戸黄門」(月曜後8・00)で、1971〜72年の第3部から87〜88年の第17部まで2代目助三郎役を務め、2002〜03年の第31部から5代目黄門(水戸光圀)役を演じ続ける。9月14日の放送で、黄門役の出演回数が200回に達した。

 「非常に幸せ。時代は変わっても、変わらぬ人間愛を常に追求してきたからこそ、番組は長く愛されてきたと思う」と笑顔で話す。

 実は、助さん時代の80年代に劇中で番組恒例の偽黄門役を演じた直後、シリーズの“生みの親”で当時の逸見稔プロデューサー(故人)から、西村晃に続く3代目黄門役を打診された。しかし、断った。

 「当時はまだ50代。いくら何でも白髪のじいさん役はまだ早いと思った。しかし、偽黄門役に『いける』と手応えも感じていた」

 「いつかは」との思いを抱いて十数年、65歳で晴れて黄門役を応諾。当初、印籠(いんろう)が登場するラストの立ち回りで、助さん時代を知るスタッフに「強すぎる」との指摘も受けたが、「ふだんはおせっかいのじいさんが、敵を相手に気持ちが変身する。優しさと強さを兼ね備えた文武両道のヒーローが本来の光圀だったはず」と、個性を発揮する。


みちのくを行く今シリーズ。2日の放送では出雲崎に着いた水戸老公一行が、佐渡島の金の取引を巡る悪事を暴く 静岡県富士宮市の高校を卒業後、歌手を目指して上京。築地で魚河岸を営む親類宅に身を寄せ、働きながら歌のレッスンを積む日々を送るが、知人の娘が送った履歴書が元で、56年に東映第3期ニューフェースに選ばれ、芸能界入りした。

 中村錦之助東千代之介ら看板スターが出演して大成功した映画「里見八犬伝」にあやかって付けた芸名をひっさげ、57年の映画「天狗街道」で本格デビュー。「大先輩に気を使い、拒食症や脱毛症にもなった」と、駆け出しの“修業時代”を振り返る。

 その後は、美空ひばりとの共演や63年の主演映画「十七人の忍者」が京都の映画祭で高評価を得るなど人気も上昇。映画からテレビへ活躍の舞台が変わる時には「とまどいもあった」が、「映画より長く俳優とスタッフが生活を共にして作品を作るテレビの面白さを初めて知った」と、気持ちを切り替え、時代劇ファンを楽しませてきた。


 現在は、京都・太秦東映撮影所での収録と、各地での舞台公演に1年の大半を費やし、ここ数年は歌手活動も精力的にこなす。余暇には、大好きなゴルフと30年来続ける水墨画で体力と気力を養う。

 座右の銘は「ゆっくりと一歩」。「今与えられたことに全力投球すれば、夢はかなうという意味。1センチでも10センチでも前進することが大事」。実感を込め、力強く語った。(井上晋治)

( 読売新聞)