仙台市ガス局の民営化暗礁に乗り上げる

仙台市ガス局の民営化で、仙台市と譲渡条件などの交渉を続けていた東京ガス(東京)、東北電力石油資源開発(東京)の3社による応募グループが19日までに、条件が折り合わないことを理由に、事業継承者の公募から辞退する公算が大きくなった。今月30日までの期限を前に交渉は打ち切られ、3社が近く辞退を正式に発表する見通し。

 仙台市のガス事業民営化では、応募グループが一グループしかないことから、3社の辞退により民営化計画そのものが白紙に戻ることになる。2010年4月に予定した民営化は困難な情勢だ。

 昨年10月から始まった交渉では、仙台市株主総会で拒否権を行使できる「黄金株」の扱いや市ガス局職員の新会社への派遣、買収額の算定方法などをめぐって協議していた。

 交渉経過は明らかにされていないが、焦点となったのは新会社への売却時に一括返還が求められる、約620億円が見込まれる企業債(借金)の取り扱い。売却時に企業債残高の完済を目指す市に対し、3社は企業債残高が巨額だとして、提示は困難と判断したとみられる。

 市と3社による条件交渉は難航し、昨年11月中に終了する予定だったが、2度にわたって延長されていた。

 市ガス局は、仙台市を含む3市3町の約36万世帯に供給し、売上高は07年度で約328億円。供給世帯数、売上高ともに全国の公営ガス事業で最大の規模となっている。 河北より