赤いリンゴをむいたら、中まで赤い――。長野県中野市厚貝(あっかい)のリンゴ農家吉家一雄さん(52)が、そんなリンゴを作り出した

赤いリンゴをむいたら、中まで赤い――。長野県中野市厚貝(あっかい)のリンゴ農家吉家一雄さん(52)が、そんなリンゴを作り出した。

 観賞用や加工用ではなく、生食用としては、国内初とみられる。さらに味を改良し、商品化を目指すという。

 このリンゴは、外皮が黄色く果肉に赤みのある米国産加工用リンゴ「ピンクパール」と、中野市で生まれた「秋映(あきばえ)」を交配させたもの。控えめな甘さとほどよい酸味があり、かつて主流だったリンゴの味を思わせる。

 吉家さんは長野県農業大学校で果樹の栽培技術や交配を学んだ後、24歳で実家のリンゴ農家を継いだ。「当たり前のリンゴではおもしろくない」と、中まで赤いリンゴ作りを思い立ち、商品用の栽培には条件の悪い場所で実験的栽培に取り組んできた。

 1994年頃、ピンクパールと秋映を交配して育てた苗を接ぎ木し、99年頃には、その株が初めて実をつけた。「酸味は多かったが、色は狙った通り」。その後、突然変異が起こらず、安定して中まで赤い実がとれるかを確かめている。

 今はまだ一株しかなく、収穫量は年300個程度なので、知人らに配っている。今後、「物珍しさだけでなく、もう一度食べてみようと思う味」にするため、この株と「ふじ」や「紅玉」を掛け合わせるなどし、品種登録を目指すという。

 このリンゴに名前はまだない。小学1年の一人娘からは、地区名の厚貝にちなんで「あっかい」にすればいいと言われているという。

 長野県果樹試験場(長野県須坂市)によると、果肉が赤いリンゴは、国内で一般には流通していない。海外には観賞用や加工用のものがあり、国内でも青森県に「御所川原」「黒石1号」「黒石2号」「紅の夢」の4種あるが、いずれもジュースなどの加工用だ。

( 読売新聞)

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