岡山県美咲町では「たまごかけご飯」の専門店「食堂かめっち」がオープン

岡山県美咲町では「たまごかけご飯」の専門店がオープン、1年間で7万食以上を売り上げた。観光客も増え、これで「町おこしを」と意気込んでいる。さらに、「たまごかけご飯」専門店は各地に出現、どこもにぎわっている。たまごかけご飯の魅力とは何か?

0タマコ

■「こんなに反響があるとは思わなかった」

 岡山県美咲町が、たまごかけご飯専門店「食堂かめっち。」をオープンしたのは08年1月22日のこと。ご飯、たまご、味噌汁、つけものをセットにした「黄福(こうふく)定食」が300円。当初の予想を大きく上回る、年間7万食以上を売り上げ、なかなかの評判だ。平日は100人〜200人が来店、休日ともなると300〜400人近くがつめかける。店舗内が18席しかないという理由もあるが、ピーク時は1時間以上待つこともある。

 美咲町が「『たまごかけご飯』で町おこしを」と考えたのは、合併した直後で、観光地もなく、知名度が低かったことからだ。そこで、美咲町出身の偉人・岸田吟香氏が「たまごかけご飯」を愛好し、日本に広めた説があることや、町内には西日本最大級の養鶏場もあったことから「たまごかけご飯」に注目した。

 「たまご目当てに誰が来るのか?」といった議論もあったというが、これが大当たり。全国からお客さんが来ているそうだ。美咲町役場・産業観光課の担当者は、「こんなに反響があるとは思わなかった。(お客さんがこれほど詰めかけた理由は)わかりません。たまたま不況に強かったのか。安価なのが受けたのか……」と驚きを隠せない。また、町内では、たまごかけご飯をメニューに加える料理店が相次いでいるそうだ。

■頭文字「TKG」として人気に火がつく

 また、「たまごかけご飯」専門店は全国各地で開店している。兵庫県豊岡市では07年3月に「たまごかけごはん 但熊(たんくま)」をオープン。350円の「たまごかけご飯定食」を提供している。オープン以来3年が経つが、計5万人以上がおとずれたという。「子供が好きと言ってくれるのが一番うれしい」と担当者。ほかには、京都市伏見区には「たまごかけごはん なかま」という専門店もある。

 もっとも、たまごかけご飯は現在、「T.K.G.」という名称で一躍人気となっている。「T.K.G.」とは、たまごかけご飯の頭文字をとったもの。火付け役は、読売連合広告社が07年9月に発売した「365日たまごかけごはんの本」だ。

 本の中で369のユニークなたまごかけご飯(=T.K.G.)のレシピが紹介され、「たまごかけご飯=T.K.G.」という認識が広がった。08年夏頃から、メディアに取り上げられたことや口コミで広まったこともあり、合計10万部が売れている。

 「365日たまごかけごはんの本」の企画者で、読売連合広告社の森田明雄さんは、「たまごかけご飯」がうけている理由について、

  「(たまごかけご飯は)なんにでも合いますし、子供でも失敗せずに作れるところが幅広い人気を集めているのではないでしょうか。また、『自分で作る』ということも新鮮なのでしょう。実際、(「365日たまごかけごはんの本」は)小学校の先生が買っていき、子たちに紹介するなんていうケースも多いみたいですよ」と話している。



卵かけご飯がブームになっている。専門店も登場し、味付けに使う専用醤油の生産が追い付かない。昔からある日本食の「ファーストフード」が、突如リバイバルしたのはなぜか。
食へのこだわりなのか、鳥インフルエンザの影響があるのか。謎を追ってみた。


島根県で開かれた「日本たまごかけごはんシンポジウム」。すでに第2回目の開催が決定している 和歌山県有田郡金屋町のカネイワ醤油本店で、「卵かけご飯の醤油」を作り始めたのが約7年前のことだった。関西の百貨店の催事にダシ醤油を出展したところ、催事担当者から「生卵に使ったら売れるのでは」とアドバイスされた。もしや、と専用の新商品を開発したが販売当初はさほど売れなかった。売れ始めたのは2年ほど前。口コミで飲食店や旅館などに販売が拡大した。ブレイクしたのは2005年からだ。05年12月には醤油味の濃い関東風味の新製品も出した。
インターネット販売の後押しもあり、「生産が追い付かない状態。今年のゴールデンウイークだけで3,000本近くが売れた」と同社の岩本行弘専務は話す。1本の値段が200mlで420円。「1本に600円の送料をかけて買う人もいて、ありがたいやら申し訳ないやら」。
ブームが全国に拡大したのは島根県雲南市吉田町で05年10月に行われた「日本たまごかけごはんシンポジウム」がきっかけだった。旧吉田村市町村合併雲南市になってしまうため、「吉田村を埋もれさせないための存在価値作り」として企画された。

専用しょうゆは「1ヵ月以上待ち」
10月30日を「たまごかけごはんの日」と定め、卵がけご飯に関するレシピや作文、論文の審査などが行われ、マスコミでも大きく取り上げられた。
すると、「イベント終了後にとんでもない状態になった」(吉田ふるさと村)。シンポジウム事務局の2回線の電話が、卵かけご飯の問い合わせで1日中鳴りっぱなし。「通常の電話ができない。電話が繋がらないから、役場や商工会議所にまで問い合わせが続いた」。
島根は米、卵の産地で、いい材料に恵まれた。さらに、卵がけご飯用の醤油があった。そんな背景もあって、ふるさと村の醤油は05年11月時点で約30万本の大ヒットに。06年5月で累計60万本にも達し、「お取引先に1ヵ月以上待ってもらっている。本当に申し訳ない」(同)という状況なのだ。
大阪市難波の和風レストラン寸菜太福では05年12月から客の行列ができるようになった。この店は米1合から釜で炊く“銀シャリ”がウリなのだが、客のお目当ては卵がけご飯。「ご飯を注文されたお客さまの90%以上が卵を注文してご飯にかける」と同店では話す。
スーパーで売られている卵は1個20円から30円。ここでは、卵1個の値段は315円。それでも、お客が高いと感じている様子はないという。

スーパーで1個60円、70円もする赤卵を使う
先の岩本専務は「かけご飯の場合、スーパーで買っても60円から70円もする赤卵が食べられていることが多い。米、卵、醤油の3点セットのギフトも好調です」と話す。
「高級志向」はなぜなのだろうか。そんな疑問に対し、シンポジウムを企画した吉田ふるさと村ではこう話す。

「日本人はもともと卵好き。でも、鳥インフルエンザ、アレルギーなどで敬遠する人が増えていました。しかし、高級な卵は生産者の顔がわかるし、『高いからいい』という価格信仰もあって、安心するんです。それがブームを支える要因の一つです」
赤卵が好まれるのも、通常の白卵だと不安なイメージがあるからだという。つまり、最近の大ブームのきっかけになったのは、専用醤油の登場だけでなく、鳥インフルエンザの影響で日本人が食の安心感を求めた、という見方だ。
卵がけご飯は日本古来からあるファーストフード。そして美味しい。卵の溶き方やご飯へのかけ方、薬味の使い方など“自分流のウンチク”を持つ人も多く、論議を始めれば尽きない。そんな楽しみ方が卵がけご飯ブームを盛り上げている。




JCASTより



★卵かけご飯(たまごかけごはん)は、生の鶏卵と飯を混ぜ、少量の醤油等で調味して作る飯料理である。卵を生のまま用いること、主食の飯と混ぜて食べることなどから、日本特有の食文化とされる。


概要

呼称・表記
卵かけご飯には、さまざまな呼称・表記のバリエーションが存在する。「卵ぶっかけご飯」、「卵ご飯」、「卵かけかけご飯」、「卵かけ」、「たまご飯」、「ぼっかけご飯」、「TKG」などとも呼ばれる。 なお、「卵」の字に「玉子」が当てられることもある。これは料理関係の用語に総じていえることである(鶏卵を参照)。


代表的な作り方

卵を小鉢に割り入れる。

少量の醤油をかける。

かき混ぜる。醤油が多くて少し黒くなっても大丈夫。

飯の上に窪みを作る。

窪みに、溶いた卵を流し込む。

よくかき混ぜて、完成。

卵かけご飯の作り方は好みに応じて多様性がある。

準備
生卵 - 1個
飯 - 適量(約茶碗1杯)
醤油 - 適量(約小さじ一杯弱)
代表的な作り方
小鉢などに割り入れた生卵をよく溶きほぐし、醤油で調味する。
飯を茶碗に盛り、箸で飯の上に適当な窪みを作る。
溶きほぐした卵を飯に作った窪みに流し込み、卵と飯とを混ぜ合わせる。
この作り方では、飯に醤油が直接染み込まず、卵白や黄身をしっかり混ぜることができる。カラザが気になる場合には、取り除くことも容易になる。
また、別の作り方として、下記のような方法もある。

飯を茶碗に盛り、箸で飯の上に適当な窪みを作る。そこへ卵を直接割り入れ、飯と共にかき混ぜた後、醤油で調味する。
茶碗に卵を割り入れて溶きほぐし、醤油などで調味しておいてから、飯をよそう。
茶碗に盛った飯を醤油で調味し、飯の上に作った窪みに直接卵を割り入れてほぐす。
飯と卵と醤油を、口の中で溶け合わせながら味わうことができる。

この料理は簡単な作り方であるものの、かき混ぜる際に飯の量が少なかったり、窪みが大きすぎたりすると卵とのバランスが崩れるなど、食感が変わることがある。
また、窪みを作る際に窪みをあまりに小さくしすぎると溢れることもある。更にかき混ぜる速さ・強さ・時間は好みに応じて異なり、白身を完全に切ったサラっとした状態から卵黄が割れているだけの状態まで幅広い。
温度も重要であって、食感と味に影響する。飯の温度が高く、卵も室温になっていれば、卵は半熟状態になる。したがって、粘性が増し、甘みが増す。逆に、飯と卵の温度が低いほど、粘性が下がる。炊きたての飯を使うと卵のタンパクが熱のために変性し半熟状態になりやすいので、これを嫌う人は、炊き上がった後炊飯器でしばらく保温され粗熱の取れた飯を使うか、飯を茶碗によそって窪みを作ってからある程度冷めるまで時間を置いたものを使うとよい。温度には、飯の量と卵の大きさも影響する。

生卵の卵黄と卵白を分離し、黄身のみを用いる作り方もある。卵白の水っぽさがないため、濃厚な卵の風味が楽しめる。残った卵白は捨てるのが一般的だが、そのまま飲んだり、メレンゲにして食べる者もいる。卵白には、コレステロールを抑える成分が含まれているとされているため、黄身と同時に摂取した方が健康によい。

調味には醤油のほか、めんつゆ(素麺つゆ)などを用いることもある。調味の詳細は、次項を参照のこと。


食べ方
味つけは、一般的には醤油を用いることが多い。ただ、その調味についても、次のようにいくつかの方法があり、食べ方にも多様性がある。

醤油を適宜注ぎ足し、味加減を確認しながら食べる方法。
少々の塩加減の多寡は気にせずに、目分量で醤油を加えて食べる方法。
朝採りの卵が入手できた場合などは、まず調味せずに、一口食べて卵の香ばしい陽の匂いを楽しんだ後、醤油で調味して食べる。
好みに応じて、後述のトッピングや調味料を用いる。
また、卵の黄身だけを醤油に数分間漬けて載せて食べる方法もある。
ホテルや旅館等で提供される典型的な和朝食には、片口(かたくち)と呼ばれる小鉢に、割っていない卵が入れられ、もしくは、既に卵が割り入れられて、供されることがある。この卵は、生卵のまま飲みこむか、または卵かけご飯に用いる。和朝食には卵の他に、飯と味噌汁、漬け物、水産加工品(鯵の干物や乾燥海苔、もしくは海苔の佃煮)、卵焼き、および納豆等が配膳されることが多い。そこで、卵と飯、納豆を合わせ、卵納豆飯として食べる場合もある。また最近は、生卵ではなく、白身が凝固した半熟卵や、黄身がやや固まり白身はやわらかい温泉卵が供される傾向もある。これは、一度火を通すことで生卵が苦手な人も食べやすくなり、洋朝食にも用いることができるため、また、供食側も扱いやすくなり、温泉卵という名前で温泉気分を出すこともできるため、広く用いられるようになった。

卵かけご飯は時間が経つと卵の水分を米粒が吸い込む為、食感が悪くなり、個人差はあるものの、大抵の人は食べにくく感じる。愛好家の多くは、飯に卵をかけてから3分、早くて1分以内、遅くても5分以内には平らげてしまうだろう。勢いよく、一気にすすりこむ食べ方が好まれるが、のどを詰まらせ易いため、個々人がちょうど良い速度を体得することが重要である。もちろん、ゆっくり食べても食感を気にしなければ何ら問題は無い。


食べ方の種類
その作り方は好みによって各種存在する。(テレビ東京和風総本家等参考)

直かけ派。
卵をご飯に直接かけ、そこに醤油を適量かけて食べる食べ方。
ご飯に窪みをつけてそこに落とす派。
何もせずそのまま落とす派。
卵ののせ方ではなく、醤油のかけ方にこだわる食べ方。
卵のみならずご飯にも醤油をかける派。
卵のみ、もしくはご飯にのせた卵に穴を開け、そこに注ぎ込む派。
上記を組み合わせた食べ方。
後かけ派。
器に卵を割って、そこに醤油や他の調味料を混ぜ込んでからご飯にかける食べ方。
醤油を適量入れ、よく混ぜてからかける派。
醤油を入れた後、軽く混ぜてからかける派。
醤油に砂糖を加え、すき焼きの割り下に卵を混ぜたような味にしてからかける派。
醤油のみならず、おかかなどを加えてからかける派。
器に卵を割ってかき混ぜてからご飯にかけ、最後に醤油をかける食べ方。
卵のどの部分を使用するのか派。
全卵を使用する派。
黄身だけを使用する派。
白身だけかける派は確認出来ていないが、存在する可能性は捨てきれない。)
卵にご飯投入派(卵かけご飯の逆パターン:生卵とご飯の食事の1例)
卵を溶いて調味料を入れ混ぜた器にご飯を入れる派。厳密には卵かけご飯とは呼べない。「卵ご飯」と呼ぶべきである。

様々な卵かけご飯
卵かけご飯は飯と生卵のほのかな甘みと醤油の塩辛さとコクを味の基調としている。

日本国内で流通している米はジャポニカ種であり、長粒種のインディカ種やジャポニカ種とインディカ種の中間のジャバニカ種に比べて小粒で長さも短く短粒種米と呼ばれている。米専用の炊飯器で炊くとジャポニカ種特有の粘り気が現れ、澱粉のアルファ化度が高くなり淡い甘味がある。炊いた米には若干の粘り気があることに加えて温かくても冷めていても複数回噛んでいるうちに甘味が増す。

最近は、様々な薬味やトッピング、また醤油以外の調味料を使う場合があり、地産地消の地鶏などを扱う焼き鳥屋では通常は知らされていない裏メニューの品目に地卵や有精卵を用いた玉子かけ飯を加えている店がある。加えて醤油の代わりに焼き鳥のたれをかけたものもある。裏メニューに通じた常連は卵と飯をそれぞれ単品で注文し、客自らが好みの作り方と食べ方で好評を得ている。

その他、牛丼や寿司のマグロユッケなどでも生卵と飯を使う。寿司の場合、通常軍艦巻では、そのサイズに合わせるため鶏卵ではなく、うずらの卵を用いる。

地域的な食べ方であるが、大阪などの関西では、カレーライスのトッピングとして生卵を乗せることが少なくない。これは、大阪市にある自由軒の「名物カレー」(インデアンカレー)という、飯とカレールーを混ぜたものの上に、生卵をのせたものが原型で、カレーと飯が混ざっていない一般的なカレーライスにも波及したものである。さらにウスターソースを加える場合も多い。このような食べ方の背景として卵かけご飯の存在があったことが指摘できる。

日本以外では、韓国の石焼きビビンバやユッケなどによく似た形式を見る事が出来る。だがこれは、石焼きの器に白飯と味付けした具を載せそこに生卵を入れてかき混ぜてしまうため、実際は生卵を食べるとは言いがたい。

中国の香港や広東省広西チワン族自治区には煲仔飯(ボウチャイファン:ボウは「保」の下に「火」と書く)と呼ばれる肉や野菜をトッピングする土鍋飯があり、このオプションの具として卵を追加できるシステムとなっているが、これも炊きあがり直前に生卵を載せるものの、食べる際には半熟以上に固まっているため、生卵を食べるとは言いがたい。ただ、この料理にかけられる、ごま油、オイスターソース、醤油をほぼ同量ずつ混ぜた、たれは卵かけご飯に使用しても悪くない。

生卵は冷凍保存できないことから、南極観測隊では年に一度の御馳走として卵かけ御飯が振舞われた。


] トッピング
卵かけご飯は総じてビタミン類が少ないため、栄養バランスを考慮すると浅漬け等の漬物類を多くとると良い。 また、納豆やとろろ芋等とともに食べる場合は十分咀嚼するよう留意する。

味付け海苔、海苔、青海苔 - 少量であってもカルシウムや各種ミネラルを多く含む。
ふりかけ - 海苔等の香ばしさが加わり、最適な味を探すのも楽しい。
胡麻 - ビタミンEが豊富である。
刻んだ漬物 - ビタミンC、食物繊維が豊富。
ちりめんじゃこ(しらす干し) - カルシウムが豊富。
魚卵 - イクラなど - ビタミンEが豊富である。
納豆 - ビタミンKが豊富である。
大根おろし、おろし人参 - 前者は薬味代わり、後者は甘みが出る。醤油などの調味料が必要。ビタミンC、ビタミンAが豊富。
刻んだネギまたはワケギ - ビタミンCが豊富。
うなぎ - 早く言えば、うな丼の下に卵かけ飯、醤油でなくウナギ蒲焼のたれ。
大根の葉の炒め物 - 胡麻油で炒め、出汁醤油で味付けたもの
その他鰹節、とろろ芋、とろろ昆布、梅干し、明太子、チーズ、キムチ、塩昆布の細切り、なめたけなども考えられる。


調味料
玉子かけご飯専用醤油
玉子かけご飯にかける醤油(熊本市の濱田醤油が開発)
おたまはん雲南市の株式会社吉田ふるさと村が開発)
ポン酢醤油 - 特に柚子の香りの高いものなどを醤油の代わりに用いる。さっぱりとしていて、鶏卵の臭みも多少抑えられる。
バター - ビタミンAを含み、栄養素の補完としてスプーン1杯に相当する約10g程度を加えると良い。
魚醤(しょっつる、ナムプラーなど)
その他のバリエーションとして塩、蕎麦つゆ、麺つゆ、味噌、マヨネーズ、うま味調味料、ウスターソースオイスターソース、胡麻油、XO醤、豆板醤、わさび、カレー、七味唐辛子、ラー油、すき焼きのタレなどが挙げられる。


日本の食文化の中での位置づけ

現代の料理として
一般的に日本では、原材料を加工調理した食品を「料理」として位置づける傾向があるため、単に飯の上に卵をかけた卵かけご飯は「料理」ではないとする意見がある。例えば、納豆をかけただけの納豆飯を「料理」と呼ぶ人は少ない。その一方、生食の極致とも言えるシロウオの踊り食いは食材に何ら手を加えていないが、高級料理の逸品として食通に広く知られており、生魚を切っただけの刺身もまた、完成された日本料理として、世界的に認知されている(刺身については、高度な技巧を要する調理法との指摘もある)。料理研究家栗原はるみは、2004年に発刊した外国人向けの料理書『ジャパニーズ・クッキング』で、卵かけご飯を紹介している。このように、調理を施すか、複雑な調理方法を用いるか否かによる「料理」の定義は定かではない。

日本国内では、最も簡単で手早く食べることのできる料理品目の一つとして知られており、特に朝食メニューとして、多くの日本人が一度は口にしたことのある品目である。生卵を熱い飯に掛けて食べるという特性上鶏卵独特の生臭さが目立ち、好き嫌いの分かれる料理でもある。

日本人の一般的な食習慣では、起床から出勤・登校するまでの気忙しく限られた時間内にとる必要のある朝食は、三食の中で、最も質・量ともに軽い品目で済ませ、昼食は、健康を考えて調理された栄養バランスの優れた手作りの弁当、もしくはコンビニエンスストア弁当屋で販売している弁当や、ファーストフード店で購入した食品(ジャンクフードとみるむきもある)を友人や会社の同僚・取引先と会食するなど、家族以外の人々と摂ることが多い。夕食は、一家団欒で家族全員がその日の出来事などを話し、朝食や昼食に比べて時間をかけて、多くの量を食べることが多い。

卵かけご飯が朝食時に摂られることが多い理由は、第一に短時間で食べ終わることができる点である。この理由は、飯に生卵を加えることで、炊いた米特有の弱い粘り気が減り、米粒一つ一つが分離して流動化し、流し込むように掻き込んで食べることができるためである。このため、たとえば前日の酒量がたたって、食欲不振で昼食までの間に必要とする量が摂れない気分の時でも、流し込むように食べることができ、多くの量を摂ることができる利点がある。味噌汁と惣菜の品数を「一汁一菜(いちじゅういっさい)」のように表現する一般的な日本食では、飯茶碗一膳の飯の量を消費する時間は、一般的な食事作法・習慣から考えると、惣菜としてのおかずを順々に一口ずつ食べて、全品を平らげながら食べ終わることから、飯茶碗一杯分の飯の消費は、食事時間とほぼ同じ傾向がある。

また、手軽さ、安さ、栄養などの面から、就職や進学等で一人暮らしをはじめる際に、好んで食べられる場合がある。現在では、コンビニエンスストアや外食産業、中食産業が盛んなため、往時ほどではないが、根強い人気を誇る。

近年、鶏卵の価格は1個10数円と安いため、昼の定食を食べる客には、サービスとして、生卵を無料で食べられるように置いている食堂も少なくない。卵を取る客は、ほとんど卵かけ飯として食べる(味噌汁に入れる、丸呑みする、などの例外もある)。

2008年には、岡山県美咲町に、卵かけご飯を中心のメニューとした定食店が開店した[1]。


歴史
日本において、鳥類が産む卵を食用とするようになったのは比較的新しく、卵かけご飯を食べるようになったのは明治時代である。

日本は周囲を大海に囲まれ山が多いという地理的条件から、全長が短く流れの速い川が多く、淀みなく流れ有毒な細菌が繁殖しにくい水に恵まれていた。このため、魚介類等の刺身を始めとして旬の山菜を生のままでも清潔に調理することができ、生食する料理が少なからず存在する。その一方、牛や馬などの大型哺乳類は、農耕の重要な労働力として家畜化され、食用にすることは少なかった。一部の哺乳類は山河の守り神や神仏の使いとして崇められていたことも有り、食用にする際は、長い耳を羽根に見立て味が鳥に類似していることから、鳥類の一種としてのウサギや、海に棲む鯨を魚類として認識していたことから、山鯨としてのイノシシのような一部を除き、主に鳥類や魚介類を摂ってきた。

平安時代以降、卵は神仏に供えるものであり、食べると罰が当たるとされていた。一般的に鶏卵を食べるようになったのは、江戸時代とされる。近代に入った1877年頃、日本初の従軍記者として活躍し、その後も数々の先駆的な業績を残した岸田吟香1833年 - 1905年)が卵かけご飯を食べた日本で初めての人物とされ、周囲に卵かけご飯を勧めた。

その後、生卵は第二次世界大戦後の食糧難の時期を経て、高度経済成長期に至る直前までは希少価値があり、病人食や虚弱体質の栄養補給として用いられることが多かった。一般庶民が卵を気兼ねなく口にできるようになるのは、高度経済成長期以降である。


の生食
現代日本では卵を生食できる食品として認知されているが、「米国」、「英国」、「中国」を始め日本国以外殆どの国において卵を生食する食習慣は無い。卵を食す場合は、完全に火を通した調理が一般的である。日本以外の文化圏で育った人にとって、生卵を食する習慣はカルチャーショックであり、時にはゲテモノ食と映る可能性もある。アメリカ映画の『ロッキー』では主人公が複数の生卵を飲み干すシーンがあるが、日本人と日本人以外では受け止め方が異なる可能性がある。また、香港映画の『少林サッカー』では、ぼろ靴の上で潰れた生卵を吸うシーンでいじましさを演出している。

元来生卵はサルモネラ食中毒などを起こしやすく、安全に食べられる地域は日本など一部に限られている。例年海外では、卵の生食で食あたりする日本人が少なくない。生食を前提にしている日本では、鶏卵農家が卵の完全洗浄など衛生管理全般が行き届いているが、それでもサルモネラ食中毒が近年増加傾向にあり、一定の注意が必要である。

サルモネラ属菌は、主にニワトリの腸管におり、卵を産む際に卵の殻に付着することが多い。日本ではGPセンターで次亜塩素酸ナトリウムにより卵を殺菌処理している。生卵を食べる場合は、「ひび割れた卵」や「割れた卵」、「割ってから2時間以上経過した卵」を使用するのは危険である。このような情報は厚生労働省や各地の保健所からインターネットを通じて広報されている。

米国国内の鶏卵業者は FDA や WHO 等の加熱処理のガイドラインに従って生食を前提にした飼育をしておらず、割り入れた生卵は低温殺菌したもの・卵白と卵黄を分けたもの・各種栄養素を添加したもの等を牛乳パック様の容器に入れられて店頭に並ぶ。これらの多くは冷凍保存が可能である。また、殻付きでは低温殺菌して白身が半ば固まった卵がパック入りで販売されている。特に防疫に注力しているオーストラリアではオーストラリア国内に持ちこめない食品として卵や卵製品が検疫検査局の品目として挙げられている。一部の東南アジア諸国では卵の外部はもとより内部にも細菌の存在が確認されている。卵の輸入制限は各国の国内鶏卵業者への保護を目的とする他にも鶏卵が有する各種細菌がもつ食品衛生上の観点からも重視されており、各国で輸入規制対象物品に指定されていることが多い。日本の検疫では四類感染症まで輸入規制できるが、サルモネラ食中毒は四類感染症ではなく、他の事由が必要となる。諸外国では鶏卵を生食する例は皆無に等しく、卵かけご飯は日本独特の食品流通と衛生管理を背景にしている。

卵かけご飯と健康
ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。免責事項もお読みください。


栄養素
鶏卵にはコレステロールが多いと言われ敬遠気味にされる事が多く、過去に於いて高脂血症などの症状の患者の食事としては敬遠された事実がある。しかし、近年ではコレステロールの制限を行う高脂血症患者にも卵を勧める医師もいる。これは、高脂血症患者には太り気味の者が多く、これらを是正する為には、良質のタンパク質が必要とも言われているからである。もっとも、卵食を勧められるのはあくまで薬の服用や食餌療法により、血中コレステロール値がきちんと制限されている患者に限られる。また、勧められるとはいっても高脂血症患者が卵を無制限に食べてよいわけではなく、少なくとも健常時と同じ感覚で摂取するのは好ましくない。患者個々の状態により制限される数は異なるが、1日1個程度を目安に摂取するとよい。

鶏卵に含まれる蛋白質の栄養価は理想的とされ、アミノ酸スコア(蛋白質の栄養素としての価値を計る基準として、蛋白質を構成するアミノ酸のうち必須アミノ酸の組成により決定される)が最大値の100になっている。いっぽう、白米中に含まれる蛋白質はリシン、およびスレオニンの含量が低く、アミノ酸スコアも60とあまり良好とは言えないため、ここに卵を加えることでその栄養価を多少なりとも高める効果が期待できる。

主に、悪玉コレステロールの多いのは黄身部分であるが、反面、白身はそれを打ち消す善玉コレステロールが多いとも言われている。また、全蛋白質のうち65%程度が卵白中に含まれている。卵黄に含まれる蛋白質に比べ、卵白のそれは栄養素としての質はやや劣るものの、卵かけご飯における栄養面の改善効果は黄身のみを用いる方法よりも、全卵を用いる方が高いといえる。

以下の表に、卵かけご飯の各栄養価を示した。 卵食は太ると思われ気味であるが、明らかに間違いである。朝食において良質のタンパク質や炭水化物を摂取する事は、1日の生活に於いてエネルギーの燃焼効率が良いと言われ、間接的には規則正しい食生活にも繋がり体重の軽減に役立つと見られている。卵かけご飯はこれらの栄養価が含まれているため簡易な朝食としては優れた料理とも言える。しかしなお、いくつかの栄養素で著しい欠乏が認められるため、適宜、副菜の摂取、後述のトッピング、強化米を飯に加えるなどして栄養バランスを調整補完する必要がある。また、生卵白中のアビジンは、ビタミンB群のビオチンと強く結合する性質があり、ビオチンの吸収を阻害する。生卵の大量摂取でビオチン欠乏症を引き起こす可能性がある。




] アレルギー
一般によく知られているように、鶏卵は食物アレルギーの原因となる頻度が最も高い食品である。乳幼児によく見られるものの場合、主に卵白に含まれる蛋白質のうちのいくつかが強いアレルゲン活性を示すことが知られており、これらの活性は加熱によって多少軽減されることも知られている。卵を生のまま食べる形態となる卵かけご飯、特に栄養価として改善効果がより高いと思われる全卵を用いた卵かけご飯は鶏卵アレルギーを持つものにとって最も過酷な摂取条件となる。基本的に卵アレルギーは重篤な症状を示す傾向があり、この場合、卵かけご飯を食べることはできない。なお、鳥飼育歴のある女性を中心に、成人になってから鶏卵アレルギーを示すことが希にあるが、この場合、卵黄に含まれる蛋白質が主たる原因となっている。

実験的には、生の状態に近いアレルゲン活性を低減させた卵白が作られている。現在でも研究が進められている低アレルゲン性卵白の製造が可能になり、低アレルゲン化卵が実用化されれば、アレルギーの寛解を導く食品として卵かけご飯を利用するようになる可能性はあるかもしれない。

米も食物アレルギーの原因となる事が知られている食品の一つであり、アレルゲンは糠の部分に含まれている事がわかっている。程度にもよるが、米アレルギーの症状が軽い場合、無洗米あるいは低アレルゲンをうたった米ならば摂取可能な場合がある。

通常の醤油は、アレルギー源となる事で知られる大豆あるいは小麦を原料として使用しており、これらに対してアレルギーを起こす事がある。この場合、ゴマ、アワ、ヒエあるいはキビといった雑穀を原料とした醤油を使う事で、アレルギー症状の発現を抑えられる場合がある。


食中毒
卵の生食はサルモネラ菌による食中毒のリスクを含む。詳しくは厚生労働省の卵によるサルモネラ食中毒の発生防止についてに表示されているが、特に卵の生食においては

きれいでひび割れのない新鮮な卵を用いる
持ち帰った卵はすぐに冷所で保管する
食べる直前に殻を割る
といった注意が必要である。

また、同文書には「食品工場等は、殻付き卵の輸送、配達及び貯蔵は、10℃以下で行うべきである。」との記述があるが、これは消費者側で全て確認することは出来ない。スーパーの特売など冷蔵されない状態で売られている卵を買うときや、野菜などと共に配達される卵を入手したときは、卵の状態について特に注意すべきだろう。


膵臓炎と生卵の関係
生の状態での卵の白身を食すと、消化酵素のアミラーゼが多く分泌される。慢性、急性にかかわらず、膵臓炎の治療後に栄養があるからと生卵を食すと、腹痛を引き起こす恐れがある。膵臓炎が完治するまで控えたほうがよい。


関連イベント
2005年10月28日・29日・30日
島根県雲南市において卵かけご飯の魅力を語り合うシンポジウム「《第1回》日本たまごかけ飯シンポジウム」が開かれた。これは卵かけ専用の醤油「おたまはん」を同市の第三セクター「吉田ふるさと村」が開発したことに起因するものである。

シンポジウムの内容は歴史や魅力について語り合うものであり、卵かけご飯にまつわる思い出や料理法が募集された。 その中で「卵かけご飯の日」が10月30日に制定された。

2006年10月11日
匿名掲示板にて東京から奈良まで生卵を運ぶスレッドが立ち話題をよんだ。 「奈良の友達が卵かけご飯を食べたがっている」という、普通にはくだらないと思われるスレッドにも拘らず一部が共感しこのプロジェクトに参加、掲示板閲覧者が日に日に増していった。 「卵を運ぶ」という行為はあくまで掲示板閲覧者がかって出ていったもので結果的に奈良まで到着すれば良いというものであり、到着地の行程内であればそこまでの距離の長短に関わらず卵を移動させるといったものであった。 このスレッドを立てた人物(>>1◆WwTkMAnEgg)はおろか、卵を受け取った人・これから運ぶ人すら全く面識が無い。また顔を合わせることも無い(受け取り方法には『ここに隠しとくから・・・』がほとんどだったため) にも拘らず、卵は掲示板閲覧者により東京都国立市を出発し、何人もの手に渡り無事に奈良県奈良市に到着した。

最終的にプロジェクトには参加しなかった閲覧者にも多くの共感をよび(実際にこのスレッドは11スレッドまで続いた)ゴール地に到着した時には、多くの「おめでとう」等の祝いの言葉が掲示板に書き込まれた。


脚注
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^ 卵かけご飯の店オープン 岡山・美咲町 - MSN産経ニュース(2008年1月23日)。美咲町は卵かけご飯を日本で最初に食べたとされる岸田吟香の出生地でもある。

関連資料・作品
『食感のオノマトペ』(三省堂、2004年)
独立行政法人の食品総合研究所の研究員である早川文代(1968年 - )が中学校1年生用の現代国語の教科書用に書き下ろした『食感のオノマトペ』の中で卵かけご飯を取り上げてオノマトペとは何か、世代間で用法や意味が異なること、日本語にはオノマトペが多く、食感を表現する言葉だけでも186語に及ぶことなどが記されている。文中では用法として女子高校生同士の会話が例として挙げられており、卵かけご飯の味わいのうち卵の黄身の「まったり感」を味わった後、炭酸飲料のコーラを飲むことで「シュワー」という爽快さが得られる情景を用いて擬声語(擬音語)・擬態語を解説している。
バカルディ(現・さまぁ〜ず) 『バカルディライブ なまたまごかけ飯(ビデオ / DVD)』(1998年)
三村マサカズ扮する青年タケノウチは、港町に仕事で滞在している。地元の定食屋の娘・リョウちゃんに恋をし、最初は飯を毎回大盛りで注文することで彼女に顔を覚えてもらおうとするが、客はみんな大盛りを注文する漁師ばかりなので、うまくいかない。そこで、毎回、「なまたまごかけ飯」を注文することで、彼女に自分を印象づけようとする。そんなタケノウチの前に、騒々しい地元のタクシー運転手(大竹一樹)が現れ、タケノウチにいろいろな恋のアドバイスをするというストーリーを軸に展開する舞台コント。

関連項目
ウィキブックスに卵かけご飯関連の教科書や解説書があります。ウィキメディア・コモンズには、卵かけご飯 に関連するカテゴリがあります。ねこまんま
茶漬け
B級グルメ
プレーリー・オイスター

カレーライス
チキンラーメン
温泉卵
すき焼き
かまたまうどん
鶏卵

外部リンク
日本たまごかけごはん楽会
真琴いづみの“ゆるゆる王国” - 「クルクルたま飯」の歌い手のサイト
大塚利恵オフィシャルウェブサイト - 「玉子飯」の歌い手のサイト
卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について(厚生労働省
卵かけご飯専用しょうゆ
生卵かけご飯にめんつゆを使う会